私は、病院に来ていました。
母に会いに来たのです。


しかし臆病な私は母に声をかける事はおろか、病室に入る事すら出来ませんでした。


気持ち悪い。気持ち悪い気持ち悪い。
此処はどこを見たって真っ白で、私みたいなのが息をする事は許されない。

そう、感じました。


気持ち悪い気持ち悪い。


右手に持った小さな花束を、きつく握り締めて、私は早足で歩き出しました。