「ねぇ調査しない?」彩音は楽しそうな顔で私に尋ねた。



「何を?」私はなんとなく分かっていた、きっと例の七不思議だろう。



「それはもちろん七不思議!!」



(やっぱり)私は彩音がこんな楽しそうでイタズラっぽい顔をするとき、絶対と言っていいほど何かを企んでいる。5年は一緒にいたんだからわからないわけがないじゃない。



「だと思った」私は少し呆れ気味に言った。



「なーんだ、分かってるなら話は早い!じゃあ今日の0時に鏡ヶ丘高校の門前ね!じゃっ」
彩音はそのまま走って教室を出て行った。



「ちょっ…ちょっとまだ誰も行くなんて……って行っちゃった…」
(相変わらず話は聞かないのね……荷が重くなったわ…)私は教室に残されていた。



それから時間は流れ、彩音に誘われた学校の七不思議の調査。
それを考えるだけで背筋が寒くなる。しかも、その事ばかり考えて授業もまともに
集中出来なかった。



気づいた時にはもう放課後だった。




教室の窓から差し込む夕陽が眩しくて目を細めた。その時私の隣に人影が見えた。



「何やってんだよ、いつもの場所にいないと思って教室にきたらぼぉーっとしてるしさ」



「かっ、翔…ごめん」私は頭を下げた。



「別に大丈夫、まぁ早く帰ろうぜ今日も部活遅くなってもう6時過ぎてるから」
時計に目をやり、手を差しのばしてくれた。



「…うん」(どうしよう…翔に言おうかな…でも、でも迷惑かけたくないし…けど…)



「翔…」翔の袖口を引っ張り立ち止まった。



「ん?なんだ」



「…………ごめん、やっぱりなんでもない」



「なんだよ?言いたいことあるんだろ?言えよ」



「だからっなんでもないってば!」私は翔を置いて走った。
後ろから聞こえる翔の声を無視して私は走った。(もう、私なんで怒ってるの?
翔はただ心配してくれてただけなのに………)「私のバカ」



「なっなんなんだよ…一体…?」