苦しくて、愛おしくて







「…わっ。…今のびっくりした」


バンッと人形が画面全体にアップされた瞬間

ビクッと肩を跳ね上げる奈央。


「てか捨てないでクローゼットに閉まっとくのが意味分かんねぇ」

「絶対このお母さん物捨てられない人だよね」

「着れなくなった服も取り敢えず取っておくやつな」

「はは、そうそう」


俺も奈央も映画中は割りと
喋りながら鑑賞するタイプだ。

だから映画館で観るより、こうして家で観る方が喋れるし気楽でいい。



「……」
「……」



でもさすがに激しいベットシーンになると、奈央も俺も気まずさから口数が一気に無くなった。