「ありがとう、え、でも私と?」
「うんっ。
1年生の頃から顔綺麗だなあって思って見てた」
えー! えー! 嬉しいけどこういうの反応に困る。
「ぁ、…アリガトウ」
「いやお世辞じゃなくてマジで!
だってモテるでしょ?」
「モテないよ!」
こそばゆい気持ちに身体がムズムズしながら、力一杯否定する。
「えーでも修学旅行のとき告白されてたよね?」
「あ、それはまぁ、されたけど…」
結構人がいるところで盛大に告白されて、今思い出してもあの空気は居心地が悪かったな。
そして「ごめんなさい」の言い辛さといったら…。
でもそんなギャラリーの応援にも流されずに断ったら、本気で場がお通夜みたいになったんだっけ。
覚えてるのはその空気の美味しくなさと、のちに遥が言った「あそこで断れるアンタえげつないけどエライ」の言葉だけ。

