「ねえねえ」

「えっ」


遠のいていた意識が、その可愛い声によってハッと現実に引き戻される。

視線を上げると、その子ははにかみながら私の机に手を置いてしゃがんだ。


「橘さんだよね?」

「あ、うん」

「私元3組の橋本彩花。初めまして?だよね」


面識がないのでその通りだと頷くと
恥ずかしそうにまた苦笑いを浮かべて。


「個人的に仲良くなりたいなぁってずっと思ってて。だから今年同じクラスになれてめっちゃ嬉しい!」

「っ」


人見知りが激しい私にとって、こうやって話しかけてくれる子はすごく有難い。