「野垣さん」








「あっ、はい…」







おっとりした声に名前を呼ばれて、私は思わず返事をする。







「何があったの?大丈夫?」








顔を上げると、見慣れた顔がそこにあった。








「哀川先生。実はさっき…」








この人になら、何でも話せる。








渇いた唇に冷たいグラスを押し付ける。







きっと、哀川先生が用意して下さったのだろう。








唐突に保健室に飛び込んで来た私を見て。