景色が変わる。

大雨の中、消防車と救急車とパトカーのサイレンが雨の中に溶ける。

昼間なのに、太陽は見えない。

大雨なのに、傘を差した野次馬が集まってる。

うるさい。

何もかも、うるさい。

そして、その中心にあるのが──

あれ? わたしの家の車……?

そんなはずない、お母さんは今日仕事じゃないはず。

交差点に明るい青の軽自動車と大型トラック。

スーパーの袋から野菜や肉が転がる。

……あ、お母さん、夜ご飯の材料買いに行くって。

担架で運ばれるのは……お母さんだ。

嘘、嘘だ。

これは幻だ。

夢だ。