空メール ―The sky mail―


「おーはよ」


突然声をかけられた。

このクラスにも特別親しい人もいないから、わざわざわたしに声をかける人もいないのに。


「ね、いつも携帯開いてさ、何やってるの?」


その人は、人なつっこい笑顔でわたしに喋りかける。

名前は…………


「あたし、夏海(ナツミ)。後ろの席の名前くらい覚えてよぉ」


あ、そうそう。夏海さん。

相川夏海。

キラキラした笑顔が可愛くて、わたしとは全く別の世界を生きる人。


「ね、なんで?何見てるの?」


「え、と……メール?」


口から出た声は、思った以上に小さくて。


「へー、誰と?」


「中学の友達……と?」


そして、何故か疑問系。


「あー、同じ中学校の人いないと不安だもんねー…わかるわぁ」


夏海さんは一人で勝手に納得して、うんうんと頷いてる。

どう見てもキラキラしてて、クラスの中心的人物なのに、どうして……?


「あ、ねえ、今日お昼一緒に食べようよ、いい?」


「は、はあ……」


だから、なんで!?