**-- other side Three --**
彼の話によるとこうだ。
「『彼女――つまり栞の数少ない友人の同僚の子から聞いた話によると、どうも栞は2年ごとに仕事や住む場所などを変える癖がありまして。それと、そんなことをするのは“ゲーム”だと』」
「““ゲーム”ですか?”」
「『ええ。妻がいる身でありながらお恥ずかしい話ですが、私はそんな栞を救ってやりたいと、そう思っています。それに……』」
「“それに?なんですか?”」
「『いえ、私にはあまり時間がないもので……』」
「“はあ”」
「『すみません、引っ越し屋のあなたに話すべきじゃなかった』」
「“いえ、お気になさらずに”」
「『……じゃあ、栞をよろしく頼みます。あなたが優しい引っ越し屋でよかったです』」
そんな会話をしたんだ。
彼は心の優しい人だと思った。俺なんかよりもずっと。
ただ引っかかるのは、小峯栞が2年ごとにするという“ゲーム”。
それと、彼の言った“私にはあまり時間がない”ということ。


