**-- other side Three --**
小峯栞の部屋で看病をしていたとき、俺は2回目の小峯栞の涙を見た。
苦しそうに顔を歪めて、荒い息遣いの小峯栞。
よっぽど辛いカゼなんだということが表情から読み取れた。
そして寝返り。
寝返りのたび、小峯栞のおでこに乗せたタオルがポロッと落ちる。
俺は何度もタオルを乗せ直してやり、小峯栞の様子をそっと見ていた。
何度目かの寝返りのとき、ちょうどこちら側に小峯栞の顔が向いたときがあった。
「もう……、何も考えなくない」
そう寝言を言って、ツツーッと涙を流したんだ。
俺はほとんど衝動的に小峯栞の手を握った。どんな夢で泣いているのかは分からないけど、手を握らずにはいられなかったんだ。
それからまた寝返りを打つまで、俺は小峯栞の手を放さなかった。
その手は握らずにはいられなかったというのもあるけど、握っていなきゃいけないという感じだったのかもしれないな。
自分でもうまく表現はできないけれど。


