**-- Epilouge --**



あれから季節は何度もめぐり、俺は栞がなれなかった26歳の誕生日を迎えた。


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春・4月。


俺と栞の大事な思い出が詰まっている川原の1本桜は、今年も空を覆いつくしそうなほど、大きく雄大に……そして優しく微笑むように満開に咲き誇っている。


栞の思い出ノート――


『Heaven
〜天国に持っていく思い出〜』


にあったように、栞の灰の一部は桜の木のそばに撒いた。


春も、夏も、秋も、冬も……。


俺はけしてこの場所を忘れたことはなかった。


どんな季節も、俺はずっと栞だけを想い続けていた。


あいつ……自分を思い出してくれるのは“2年おき”でいい、なんてノートに書いていたっけ。


でもさ、俺にはまだできそうもないよ……。


ヒデだって雪ちゃんだって、まだできそうもないよ……。


遺言だなんて、お前らしく――栞らしくないじゃないか。


なあ、栞……。