**-- Three --**
「“分からない”って言ったって俺はあんたに興味がある。理解しようと努力することもできる。だから話くらい聞いてやってもいいぜ?」
桃原直貴はハンドルにもたれながらワタシに言った。
それは何というか、挑戦的である種の“善意”みたいだった。
たぶん、ワタシの不倫話を根掘り葉掘り聞いて楽しみたいとか、おもしろそうとか、そういう興味本位のつもりではなさそうな感じ。
だからってワタシは話そうとは思わない。リセットしたんだ、何回もやったゲームをまた初めからする。
プログラム通りにゲームを進めて2年後には今日みたいにリセットする。
――今日はちょっとゲームの調子が悪いだけ。
そう。
今日はちょっと調子が悪いだけ。明日になればゲームは元に戻る。
こんな人と関わったのは……、いつもは見ないゲームのオープニングをたまたま見ただけだ。
「おっと、青だ。もうすぐ新しいあんたの家に着くよ」
桃原直貴はそう言って、軽快にトラックを発進させた。


