**-- Twenty three --**



そんな毎日は無情にも正確に確実に過ぎていき、11月がワタシに鐘を鳴らす。


“死”というこの世のゴールへ向かってひた走るワタシへ、トラックの最後の1周だというように高らかに鐘を鳴らしている。


11月は、一番好きで嫌いな月。
直貴に出会うことができた、宝物の月。……だけど、それと同じくらい嫌いな月。


ワタシと直貴の仲を邪魔するこの病気、その片鱗が見えた月なんだから……。


もしタイムマシンがあったなら、ワタシは直貴と出会うずっと前に戻ってやり直したい。


あの人にも会わず、不倫なんてせず、ただじっと直貴に出会える季節を待っていたかった。


それが叶わない今ならば、ワタシは早く楽になりたい。


直貴の胸へ飛び込むことがワタシのゴールじゃないのなら、早く沼の精に連れていってもらいたい。


秋風に飛ばされる茶色い枯れ葉を見るたびに、ワタシの精神も気持ちも深い沼へと落ちていく。


ワタシの心は、真冬の冷たい氷のようにどこまでも固く凍りついていた。