**-- Twenty three --**



直貴が何をしてくれようとしているのかさえ知らないワタシは、ずっと眠ったふりを続けていた。


何も考えたくない、何も思いたくない、ワタシの心はそんな状態だった。


目を開けることが、前にも増して日に日に怖くなっていく。


直貴たちの顔を見ることが、どんどん怖くなっていく……。


最期が近づいているのに。
“幸せだった”と言って、笑って死にたいのに……。


弱い自分が今のワタシを支配しているんだ。……情けない。


とうとう“今すぐ楽になりたい”というのが、今のワタシの願いになってしまった。


死が目に見えて迫ってくると、人ってこんなふうに思うものなんだな、なんて考える始末だ。


直貴たちにはけして分かるまい。
……ワタシの気持ちなんて。


集中治療室でずっと寝ていると、悲観的な考えばかりをしてしまうんだ。


“生きよう”とあがくことも思うこともできず、ワタシはただ死に向っていくだけだった……。


ごめんね、みんな……。