**-- other side
Twenty one --**
それが栞が唯一望んでいることなんだから、俺は是が非でも先生になってやりたいと思った。
引っ越し屋の仕事はもちろん好きだけど、それは樹紀に負い目を感じていたからであって、前に栞が言ったように逃げていたからだ。
間違いなく、俺は今でも心の奥に教師になる夢を持ち続けている。
この時になってやっと、俺は自分の夢にも樹紀にも、香織にも向き合えたんだ。
長いこと時間はかかってしまったけど、今からだってやってやれないことはないはずだ。
香織づたいに聞いた栞の気持ち。いよいよ俺に、その気持ちに誠心誠意応えるときが来たようだ。
時間はかかるかもしれない。
だけど、栞のためにも俺のためにも……俺たちに関わってくれる人たちのためにも、俺はしっかりと自分の道を歩くことを決めた。
“一期一会”。
奇跡のような出会い。
栞と巡り合えたことを大切に、俺も栞も後悔しないように……。
俺は、教師になることをこの日、心に深く誓った。


