**-- other side
Twenty one --**
――やっぱりな。
「栞に何を言った?」
俺は、気が気じゃなくなって感情を抑えられずに強引に聞いてしまった。
「……その前に、そのアザ。どうしたの?」
香織は、俺のアザを心配そう見ながら聞いた。
「親父に殴られた」
「……そう。痛む?」
「まだ少し」
「小峰さんには言ったの?」
「まさか。仕事中のケガだってごまかしたよ」
「やっぱり。……許してもらえてないんだね、結婚」
「まあな。頭を冷やせって言われたよ……」
そこまでのポツリポツリとした会話が終わると、香織は小さなため息をついた。
“しょうがないわね”と言っているみたいなため息だった。
――まさか香織も反対するつもりじゃ……。
いや、つき合っていたんだから香織が反対するのは当然のことなんだろうけど、でも、ため息の意味が男の俺には全く分からない。
次に話す言葉がなかなか見つからなかった。


