**-- Twenty one --**



「病院で知り合った人が昨日来てくれてね、前に入院してた人なんだけど。その人がお見舞いに、って花とフルーツを持ってきてくれたの」


直貴1人の前ならまだしも、雪とヒデもいる中だったから、ワタシは木村さんのことは隠しておくことにした。


「へぇ〜」


ヒデが言った。


「女の人なんだね、お見舞いに来てくれた人」


雪がニコニコと笑いながら言う。


「なんで分かったの?」


ビックリしたワタシは、一瞬だけ口の端っこがピクピクと動くのを感じた。


「ん?選んだ花のセンスとか、フルーツの感じでなんとなく」

「へ〜、雪ってすごいね」

「それほどでも〜」


雪はうれしそうに笑って、オレンジをワタシにくれた。


直貴だけは、ちょっと複雑そうな顔をして、じっと花を見ていた。


「……直貴?どうしたの?傷が痛んで具合悪い?」


ワタシは、とりあえず明るく声をかけてみた。


――木村さんのことは、折りを見て話そう……。