**-- other side Nineteen --**
想像するのは特別難しいことじゃない。そのとき俺は、ちゃんと受けとめられるだろうか……?
ずっと避け続けていた真っ暗な未来が、栞を抱きしめたことで俺の中に流れ込んでくる。
栞の前では絶対泣かないと勝手に誓ったことは、今は守れそうにない。
泣きたいのは栞のほうなのに、弱くてちっぽけな俺は、一緒になって泣くことくらいしかできなかった。
「あと……3ヶ月……直貴に何ができる……?」
しゃくり上げながら栞は聞いた。
「栞が望むことなら……何でも」
俺はそう答えた。
でも俺はずるい。
保証されている未来はあとたったの3ヶ月しか残っていないのに、俺に何ができるというんだろう。
栞に任せる言い方なんてしたくなかったのに、出てきたのは情けない言葉だった。
「一番したいのは、一番したかったのは……直貴に抱かれることだった」
それを聞いた瞬間、栞も俺と同じことを思っていたんだと知った。
涙が頬を伝う。


