**-- other side Nineteen --**
栞もそう言った。
そう言って、動けない俺を残して病室に戻ろうとした。
でも、普通に歩くことさえ栞は難しくなっていた。
体力が落ち、力が入らない。
それもまた、俺の全身をこれでもかと時の流れが切り裂いていく。
どうにもならない、どうにかすることさえもできない俺に、突き付けられた真実だった。
途中、栞はバランスを崩して転んでしまった。
“起こしてやらなきゃ”と思う前に、俺の体は素早い反応を見せたんだけど、
「来ないで!ワタシは1人で立てない女じゃない!」
屋上全体に響く栞の悲痛の叫び。もう俺は必要ないと言われているみたいだった……。
当たり前だ。
今さらのこのこやって来たって、俺なんかを信じてもらえるわけがないんだ。
栞の姿は……悔しそうだった。
俺には分かりっこない悔しさが、栞の周りの空気を震わせていた。
泣いたってどうにかなるわけじゃないのに、俺の目には涙が溜まっていた。


