**-- Fourteen --**



そしていよいよ14日。
バレンタインデー当日になった。


直貴に仕事終わりに部屋に寄ってもらうように言って、ワタシは定時になるとすぐに部屋に帰って準備をしていた。


ここ最近、直貴とゆっくりすることもなかったから、夕飯くらい一緒に食べようと思って前もって連絡を入れていた。


『ピンポン、ピン〜ポン!』


8時少し前に玄関のチャイムが2回鳴って、それが直貴が来たことを知らせた。


ワタシたちの間でのお互いの確認作業みたいなもので、直貴が部屋に来るときはいつの間にか2回鳴らすのが決まり事になっていた。


急いで玄関を開けると、そこには愛しい人の顔。


いつもと変わらない笑顔でワタシを見下ろす直貴がいた。


「少し仕事が長引いちゃって」


申し訳なさそうなはにかみ笑顔で言う直貴。


「ううん。じゃあ、中入って」

「おっじゃましま〜す!」


ワタシがそう言うと、直貴はパッと表情が明るくなって慣れた様子で部屋に上がった。