**-- Fourteen --**



それから数日後。
いよいよバレンタインデーが明日だという日。


体調は万全というわけにはいかなかったけど、仕事が終わってから雪と2人でチョコ作りをすることになった。


この前買った材料やラッピング用品を使ってけっこう本格的なものを作る計画で、下手をすれば夜中までかかりそうなほどだった。


ワタシにとっては、初めてあげるチョコ。


たぶんこれで最後になるであろうチョコ。


ワタシの気持ちを察したのか雪はすごい気合いの入れようで、ヒデの分を作るのもそっちのでワタシのチョコ作りを手伝ってくれた。


何度か入ったことのある雪の部屋で作ることになったんだけど、相変わらずというか乙女チックというか、ピンクで統一された部屋は圧巻だった。


ワタシの部屋には絶対にないもの――例えばフリフリのリボンがついたエプロンとかキラキラの小物入れとか、そういうものがいっぱいあった。


そんな乙女心を忘れない雪は、ある意味ワタシの憧れの存在。


ワタシにないものがあるから。