**-- another side Twelve --**
カップの中をきれいな円を描いて回っていたミルクが、スプーンが止まったせいで気味の悪い模様に変わる。
あたしはそれをじっと観察する。ヒデくんとは目が合わせられなかった。
「正直に言わせてもらうと、俺は栞さんが怖い」
ごもっともな一般論。
あたしは耐えた。
「栞さんも栞さんだけど、雪も雪だと思う。直貴だってどうかしてるとしか俺には思えない」
――じゃあ、さっきの涙は何?
“無事でよかった”っていう意味で泣いたんじゃないってこと?
これもまた一般論。
あたしはどうにか耐えた。
「病気の知識が乏しい俺たちに、これから何ができると思う?彼女は……、栞さんは、これから俺たちとのギャップに苦しむとは思わないか?」
正当な一般論。
あたしは、そろそろ耐えられなくなってきた。
「同じものを食べても、一緒にいても感染しないことは分かってるけど、でも俺は、栞さんには触れない……」
プチン。
何かが切れた。


