**-- other side Twelve --**
先に寝てしまった俺を心配しているのかは分からないけど、明日はシフト休みと週末が重なって早起きしなくてもいいんだ。
寝不足だったことやそんな気の緩みもあって、たぶん俺はどうやったって起きないだろう。
俺は寝つきもいいし一度寝たらなかなか起きない。
地震があっても、震度4くらいまでは平気で寝ていられる自信がある。
明るい場所でも騒がしい場所でも平気なんだ。
それに栞は今日もいい匂いだ。
その匂いをずっと嗅いでいると、甘いミルクの匂いでもしてきそうなくらい本当に心地いい。
栞は分かっているかな。
この甘い匂いに俺はメロメロだってこと。
腕の中にすっぽり収まる、この絶妙なフィット感に俺がメロメロだってこと。
今日のこの幸福な時間が死ぬまで続けばいいと、俺が密かに神様にお願いしているってこと。
でも……。
俺は無知に近かった。
もうすでに命のカウントダウンが始まっていたなんて、俺は夢にも思わなかった……。


