**-- other side Eleven --**
仕事にもろくに手をつけられない俺を吉田さんは気遣ってくれた。
でも俺は、そこでも平静を装って“正月にひいたカゼがまだ抜けないんですよ”と受け流した。
雪ちゃんの口から真実を聞くまでは栞がなんでもないと信る。
そう決めていたんだ。
これは俺の意地だったんだ。
だけど……。
だけど、泣きながら電話をかけてきた雪ちゃんの様子で、一番信じたくない結果が真実になってしまった。
雪ちゃんはパニック状態になっていて、ほとんど話の内容は分からなかった。
ただ“栞ちゃんを探して!”とそれだけを繰り返していた。
俺はすぐに早退を願い出て、母さんの車でいろんな場所を探しに行った。
栞の今の部屋と前の部屋……。
栞と初めて会ったあの店……。
一緒に寝たラブホ街……。
初詣の神社の前……。
一緒に入ったコンビニ……。
栞と俺が行ったことのある場所を順番に探し回ったんだ。
栞はもう……、と最悪の結果が何度も頭をよぎった。


