**-- Eleven --**
「……うぅっ……」
ワタシは声を上げて泣きそうなのを必死にこらえる。
「その顔からすると、花丸をもらえるくらい完璧な答えだったってことかな」
直貴はそう言いながら、ワタシをガラス細工を手に取るときのように、大きな花束を抱き抱えるときのように、すっぽりと優しく抱きしめてくれた。
「……あ……あぁーーーん……」
直貴の大きな心と体に包まれて、ワタシはほとんど初めてに近いくらい、久しぶりに声を上げて泣いた。
生まれたての赤ちゃんのように、あらゆる動物が生まれたときのように、直貴の背中に一生懸命手を伸ばしてワタシは泣いた。
年上の女とかプライドとか、そういう意地でどうにか押さえてきたものが宇宙の果てまで飛んでいった感じだった。
「それでいい。泣きたいときに無理して泣かないなんてのは、かわいくない。1人で泣いて1人で闘おうとするのは、思いやりでもなんでもないからな」
直貴はワタシが窒息しそうなくらい力強く抱きめて、背中をさすってくれた。


