2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-

 
**-- another side Ten --**



長坂さんが会社にいたときは、みんなヘコヘコ頭を下げていたくせに。


長坂さんがいなくなったら手の平を返すようにバッシングして。


――こんな腐った会社になんていてもムダ!


あたしはその朝礼の場で、この会社に対して今までにないくらいの憤(イキドオ)りを感じた。


そんなあたしは、次の日会社を休んだ。


頼み込んで頼み込んで、なんとか長坂さんの入院先を教えてもらって、その真意を確かめたかった。


派遣の人たちで相談して、長坂さんに退職の品を届けたい、お見舞いに行きたいということになったと嘘をつけば、入院先を知ることは特別難しいことじゃなかった。


同じ派遣の人たちには“本当のところを知りたくない?”と話を持ちかけて、うまく口裏を合わせてもらった。


特に隣のデスクの噂好きの子は、あたしの話にノリノリだった。


話の後半からは、その子が先頭になって派遣の人たちを口説いてくれた。


そんな下準備をして、あたしは今病院に来ている。