**-- Ten --**
ワタシはもう、あの人に対してのあらゆる負の感情が消え去った。
“同じ孤独を分かち合う者”として、あの人の言葉も病気のことも不思議とスーッと体にしみ込んでいった。
なんで治らない病気をうつされたくせに相手を許せるんだ?
誰もがそういうふうに感じることかもしれない。
ワタシやあの人を非難したり罵倒したり、いろんなことを言うかもしれない。
だけどワタシには、呼吸をするのと同じで自然に受け入れられたものだった。
これで、直貴への想いを断ち切ることができる。
雪やヒデとも関係を終わらせることができる。
ワタシはそう思った。
「……君に恋を諦めさせなくてはならないみたいだね、僕は」
ワタシがやっとの思いで気持ちを断ち切れそうだと感じていた時、あの人は体を離しながらワタシに言った。
「好きな人がいるんだろう?」
言葉が出ないワタシに、あの人は全てを悟ったような目で聞いた。
「分かるよ。恋をしている顔だ、君は……」


