**-- Six --**



――次はちゃんと言わなきゃ。


「ねぇ、さっきの彼女さ、ストーカーさんのこと“モモハラ”って言ってなかった?おめでたい頭だね」


――言えた。


「……悪かった、守ってやれなくて」


桃原直貴はそう言って、少しだけワタシを支える腕の力を強めた。


「謝ることじゃないよ。あれはスゴかったもん。言われたワタシだって鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔しちゃったし」


そしてワタシは、桃原直貴が自分を責めないようにアハハと小さく笑った。


「でもさ……」

「いいから。気にしてないし」


“でもさ”と言った桃原直貴の言葉を割いて、ワタシは精一杯強がった。


「気にしてないわけねぇじゃん。自分でなんとかしようとするな。無理に元気にしようとするな。雪ちゃんでもヒデでも俺でもいい。心を許せると思った人に少しくらい寄りかかれ。泣くのを我慢するな」


桃原直貴は、今までに聞いたどの桃原直貴の声よりも力強く、だけど静かに言った。


その言葉でワタシはまた泣いた。