**-- Six --**



何も考えたくない。
何も考えられない。


桃原直貴に体を支えられながら明るいクリスマスの街並みをトボトボ歩くワタシは、不発弾。


ワタシを掘り起こさないで。
ワタシから離れて。


ワタシを、大切なプレゼントみたいに扱わないで。


だって中身は……爆弾だよ?


いくら爆弾をきれいに包装したって、爆弾は爆弾。


爆弾以外の何物でもないんだよ?


「……大丈夫?」


コートを頭まですっぽり被ったワタシに、桃原直貴は気遣わしげに聞いた。


――ここで“大丈夫”って言わなきゃ。


「……ストーカーさん、ワタシを殺してくれる?」


でも思っていたこととは反対に、ワタシの口から出たのはそんな言葉。


「え……」

「ストーカーなら行き過ぎたことをすることだってあるでしょ?だから」

「……」


桃原直貴は答えなかった。


「なんて。冗談だから。そんなの冗談に決まってんじゃん」

「……そか」

「うん。そうだよ」