**-- Six --**



「あんたなんか死ね!死んじゃえばいいんだよ、あんたなんか!」


――死ぬ……。


彼女の言った、たった一言がワタシの目を見えなくした。


崖の下に突き落とされて、それでも雪とヒデと……桃原直貴の笑顔で上を見上げられるようになって。


そして彼女の一言で、ワタシは崖の上から黒い布を放り落とされ視界を奪われた。


――死ぬ……。


死ねばいいんだと思った。
死んで楽になれるなら、今ここで死にたいと思った。


店の前の道路で通行人にジロジロ見られながら、ワタシはそう思った。


ワタシってこんなに涙が出るんだって、自分でも驚くくらい涙が出た。


……止まらないんだよ。


涙を拭いて、雪たちに“大丈夫、ちょっとビックリしただけだよ”って言わなきゃいけないのに。


桃原直貴に“今の彼女、トウバルって覚えらんないの?おめでたい頭だね”なんて皮肉を言って、笑わせなきゃいけないのに。


なのにどうして……?
どうして……。


なんでワタシ……?