「……レモン。 "レモン" はどうですか⁉︎」
「……流石に、それはやめようよ。」
ずっくんが珍しく、携帯から目を離した。
そんなに嫌なんだ。
まぁ、流石に……フルーツの名前は嫌、っていうか なんかうん、なんか嫌。
「……レモンスカッシュ。」
ずっと黙ってたナッツがボヤいた。
「レモンスカッシュって飲み物あるじゃないっすか。
レモンが嫌なら、スカッシュ……とかは⁇」
「……いいんじゃない⁇」
俺は、カバンの中からルーズリーフを取り出し シャーペンで ど真ん中あたりに "スカッシュ" と書いた。
「カタカナ⁇」
「……別に、カタカナじゃなくてもいい。」
ずっくんが覗き込んできた。
俺は、全員の名前をローマ字で綴ってみた。
"Shionome Aito"
"Aohoshi Chinatsu"
"Sasame Shizuki"
"Kannnaduki Leo"
「……何となく、綴ってみたけど……」
綴ってみたはいいが、何かを思いつく訳でもない。
我ながら、自身のネーミングセンスの無さ、それと アイデアの浮かば無さ を痛感する。
「それじゃあ……」
アイは俺が持ってたペンを取り、俺がカタカナで書いた "スカッシュ" の下に "SKASH" と書いた。
「なんとなく……全員のイニシャル⁇取ってみたつもり……なんっすけど、どうっすか⁇」
「「「……すげー。」」」
3人の声が揃った。
「いいじゃん、SKASH。」
ずっくんの声に
「そうっすか⁉︎ヤッター‼︎」
って、嬉しそうな顔をするアイ。
悪くはない、そう思うし 俺には到底 思い浮かばないから 文句なんてない。



