夕陽の射し込む教室。
教室の中には、俺を含めて4人以外 誰も居ない。

「……で、待って。
状況がイマイチ把握できてない。」

遡ること、10分も経たない。
ほんの数分前……俺は確か、自分のクラスの教室に居た。

「ねぇ、レオさん。」

話しかけるのは、俺の親友 "ずっくん" こと "細 静貴" 。

改まって、何か 言おうとしているから 俺は ずっくんの方を見た。

「何⁇どうかした⁇」

「ねぇ、バンドしよう⁇」

……え⁇バンド⁇
ずっくん、そういうの 好きだったっけ⁇

「まぁ、レオさんに拒否権はないんだけどぉー。」

拒否権がない⁇
ってことは、嫌がっても嫌がらなくても、俺はバンドをする運命にある、ってことか⁇

「うん、まぁ、そういうことなんだけど。
とりあえず、さっきから心の声的なものがブツブツと小声で聞こえてきて なんか気持ち悪いから喋るならさ、いつも通りに喋ってよ。」

……心の声がずっくんに聞こえていたようですね。

「で、バンドって何でイキナリ⁇」

「えーっと……知りたいならさ‼︎付いてきてよ‼︎
っていうか、付いてくる以外の選択肢、レオさんにはないんだけどさ。」

「……え⁇」

ずっくんはカバンを手に取り、俺の手首あたりを掴み 歩き出した。

「ちょ……っ、待って‼︎」

俺は、自分のカバンを何とか掴み ずっくんに付いていった。