「お茶もありますから」 彼は嬉々として小皿に取り分ける私の背中に向かって言う。 「あ、はい」 どこに何があるのかを熟知しているにも関わらず、わざわざ言うのは心配性だからだろうか。 せわしなく準備をしていて気がついた。 「菓子楊枝がないんですけど…」 お菓子を食べるときに必要なそれ。 いつもあるはずの場所にない。 フォークもスプーンも綺麗に並べられているのに、それが置いてあるスペースだけごっそり無くなっている。