この空間に似合わない私のサンダルは、そこだけ別世界みたいに主張していて。 彼は靴の類が揃っていないのを嫌うから、私はそれを少し丁寧に脱ぎ散らかす。 後から叱られることは必須だが、それは別にいい。 自分の家みたいに廊下を進む。 外とは違ってひんやりとしていて気持ちがいい。 いつもの書斎にいないと思って探し回ると、彼は縁側に座って水羊羹を食べていた。 やっと見つけた。 チリんと鳴る風鈴に目を細めている姿は綺麗で、格好いいとかいうものとは違って中性的だ。