だから分かる。 なつめが怯えていることも。 「ゴホン!」 咳払いをした隣にいる女。 「中野旭だっけ?知らないけど、なつめのこと怖がらせないで?それにここがどこかわかってんの?ほら、行くよ」 なつめの手を強引に握って、人ごみの中に消えていく。 「あーさーひくん」 面白がって見ていたのだろう。 ウザい男が声をかけてきた。