ー何事も平凡に暮らせ。そしたらきっと平和だからー
幼い頃に死んだ父親の口癖だった。
平凡であれば誰にも目を付けられずに平和に暮らせる。要は上手い生き方だ
「愛羅ー?起きてるのー?」
うーん.....煩いなぁ.....あと五分だけ。
そこで私は初めて時計を見た。現在八時十分。登校時間まで後十五分。
や.....ヤバイぞこれ
「遅刻するー!」
慌ててベットから飛び出して身支度を済ませること僅か五分。
「行ってきまーす!」
行ってらっしゃーい
なんて呑気な母親の言葉をそのままにして全力ダッシュした。
「うわー入学式以来だこんなの.....」
でも、走る道はいつも通り
この地域にはちょっと場違いだろ.....
と思うくらい派手な家の角を曲がる
うん。いつも通り
そこから二つ目の角を右に曲がる
うん。いつも通り
そんでもって知らない人とぶつかる
うん。いつも通り.....じゃねーよ⁉いやいや、毎日知らない人にぶつかるってどんだけ⁉それもう普通じゃないから!
なんて一人突っ込みをかましてる間に相手の方が話しかけてきた
「すいません!大丈夫ですか?」
.....わぉ。イケメン君じゃん。てかデカくね?何㎝よ。正に女子が夢みる王子様だよ
「あの.....?」
「え⁉あ、大丈夫です!いつも誰にも会わなかったので油断してました!」
いやいや
油断してました。
って何⁉何言ってんの⁉馬鹿なの⁉普通は油断しちゃ駄目だから!
「あぁ、そうなんですか?じゃぁ僕はこの辺で。本当にすいませんでした。気をつけて下さいね」
.....何だよ人の心配するとか性格までイケメンかよ。千人に一人の逸材だよ
「って私も遅刻するー!」
あぁ.....サヨナライケメン君。もう会うこともないでしょう
恋愛ドラマのラストシーンみたいな台詞を呟いて私は学校に全力ダッシュした





でも、まさかこれが私の平凡な高校生ライフを変えるなんてこの時は誰も思ってなかったんだ