私は手の中の布をきゅっと握った。 楽器を拭いたり整備したりするのに使うクロスという名のこの布は、私と彼をつなぐ大切なモノ。 目を閉じるとあの日の優生くんの声が聞こえてくる。 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・ 『松川先輩 そのクロス、返さなくていいですよ』 『え、どうして??』 首を傾げた私に優生くんは意味ありげににやりと微笑んでみせた。