6月上旬。 学校帰り、急に降り始めた雨に慌てて、私は近くのシャッターの閉まった店の屋根の下へと避難した。 「もう梅雨か…」 中学校を卒業したのはもう3ヶ月も前なのに、ついこの間のことのように感じる。 (みんな、元気にしてるかな…) 同級生や後輩たちの笑顔が脳裏に浮かんでは消えてゆく。 その中でも、ある人物の笑顔が私の頭の中を支配した。 「…優生くん」