ウソのコイビトになりました




「で、今日ちゃんと話せたの?」



バイトの帰り道、光くんに聞かれた。



「って、朱里の様子見てれば分かるんだけどね」



様子というのは、今日バイトで優夢のこと考えてボーッとしたせいでお皿を割ったことだろう。



「……今はひとりで整理したいかな」


「そっか…」



沈黙が流れた。
その沈黙を破ったのは光くんだった。


「詳しくは分かんないけど、後悔しない道を選べよ?」



光くんそう言って、頭をわしゃわしゃなでた。



「……うん。ありがとう」



光くんの手は暖かかった。