ウソのコイビトになりました




家に着き、やっと手が開放された。



静寂の中、少し前にいる陽斗くんが振り返り、目が合う。



その瞳は真剣な目をしていて、ドキッと胸がなる。



「…………悪かった」



先に静寂を破ったのは、陽斗くんだった。



「俺、最低なこと言った。ごめん」



驚いた。



こんなこと言われると思ってなかった。
全然気にしてないと思っていた。



だけど、違った。
こうして謝っている。



「いや、私こそ突き飛ばしたりしちゃってごめんなさい」



だからか自然と私も謝っていた。