ウソのコイビトになりました




「じゃあ、朱里行こっか!」



その言葉に「うん!」と頷くものの、足取りは重かった。



家に帰って何て言えばいい?
陽斗くん怒ってるかな?



そんな不安を巡らせ俯きながら外に出ると、「あ!」と光くんの声がした。



顔を上げて、光くんの視線の先を見ると



「え……」



なんで?



そこには壁にもたれた陽斗くんの姿があった。



「朱里、帰るぞ」



そう言うと、私の腕を掴み歩きだした。



「え、ちょ!」



混乱している私を構わず歩いてく陽斗くん。



振り返ると光くんが笑顔で「じゃあな!」と手を降っていた。



それに答えると前を向いて、陽斗くんに引っ張られながら歩いた。



その手は暖かかった。