『俺、ついてなくて平気?』

『葵が来てくれるから、大丈夫だよ』

『ごめんな…』

『ひな兄、謝らないで。私なら大丈夫だから。ひなにぃが優先したい人を優先しなきゃダメだよ』

美晴にはまだ何も言ってないのに、美晴はまるで全て分かってるかのような言葉をくれた。


『分かった。家で待ってるから、検診どうだったかまた教えて』

『うん分かった』


美晴とのメールのやり取りを終えて、車を発進させた。



駐車場に着いて、前園さんを抱き上げてエレベーターに乗り込む。

身体の熱が俺に伝わってくる。

……早く下げてあげたいな。

家に着き、鍵を開けて部屋へ直行する。

ベッドにそっと寝かせて、看病セットを用意する。

まさか、自分の部屋に女の人を入れる日が来るなんて、思いもしてなかったな……

とりあえず、熱を測ってからだな……

そっと体温計を挟む。


ピピ、ピピ、ピピ…

39.2

また上がったな……

大人でこの熱は辛いよな……