俺は前園さんを抱き上げて、奥にあるベッドに座らせた。

手首をそっと掴み脈を測る。

速いな……

「ちょっと瞼触るよ」

そう言って、瞼を下げると真っ白だった。

貧血だな……

それに身体も熱い……

「朝から体調悪かった?」

「…………はい」

「貧血みたいだけど、他に辛いところある?」

「…………」

俯いたまま何も言わない前園さん。

「…………誰も責めないから言ってごらん?」

俺の言葉に顔をあげると、目を潤ませ始めた彼女に俺は慌てた。

泣かせたい訳じゃなかったし……

「ちょ………泣かないくていいんだよ。誰も悪くない。みんな体調崩すことはあるんだから……ね?」

「グス…………すみません。朝から少し頭痛がしてて。でも何時もの事だから市販薬飲んだんですけど、だんだん怠さも増してきちゃって……」

色々突っ込みたいところがある。

「頭痛持ちなの?」

「…………はい」

「市販薬って事は、病院には通ってないんだね」

「学生の頃からなので、市販薬でやり過ごしてます」

「頭痛ってどれくらいの頻度かな?」

「薬飲んだら治るので、あまり気にせずに居るんですけど、多分週1くらいです」

「そっか……偏頭痛かな……でもあまりにも酷い時はちゃんと診察した方がいいよ」

「はい………」