「どうぞ」

「司さん、ヘルプって聞いたんですけど……」

「うん、ちょっと彼女を診てあげて欲しいんだ」

そう言って、視線を動かすと

「前園さん?」

「日向、先生?」

二人の視線も重なった様だ。

「ちょっと体調不良みたいでさ。俺、まだ患者さん残ってるから、奥で診てあげてくれる?」

「…………分かりました。前園さん、立てる?」

日向の問いかけに小さく首を振った前園さん。

それを見た瞬間、日向はそっと前園さんを姫抱きで抱き上げた。


「や、おろして…」

「少しだから。ここに居ても辛いだけでしょ?」

日向の言葉に観念したのか、日向に身体を預けた前園さん。

フッと息を吐いた日向は、どこか嬉しそうだった。



さて、お節介はここまでにして、俺は残りの患者さんでも診ようかな。