みぃは、すぐに寝息を立て始めた。

俺とひな兄はそっと部屋を出た。


「ねぇ、ひな兄。みぃが体調崩してる事、結構内緒にしてるの?」

「え?」

「さっきの2人のやり取りが、スムーズだったから……」

「………………あぁ…」

ひな兄は苦笑いをこぼした。

「今は葵にはしないけど、結構家族しか知らない体調不良あると思う。たまたま居合わせたり、聞かれたら伝えるけど、美晴は基本あまり言いたがらないからね……」


これは初耳だった。


「……そう、なんだ……」

まだまだ自分の知らないみぃがいる事に驚いた。

「伝えないからって、嫌ってる訳じゃなくて……大切な人に心配掛けたくないからだよ」

大切な人……

何だかその言葉がくすぐったかった。

みぃが以前から俺のことを大切な存在だと認識していてくれた事が嬉しかった。

でもその反面、弱さを見せて欲しいとも思った。


「今は、葵には内緒にする事はないから安心して」

ひな兄は、俺を諭すように言った。

「一緒に暮らしてる人には内緒にしない事が俺たち兄妹のルールなんだ」

「じゃぁ、今回はかな兄には?」

「それは言うよ。兄妹だからね。長年美晴と一緒に暮らしてきていたからという事が前提ではあるよ。だから、彩さんにはこっちからは言わないんだ。美晴が嫌がってたしね……」


俺はこの時、みぃ達の兄妹仲がいい事を再確認したんだ。