先生が保育室に入ったのを見て

「ビックリしちゃった。急に婚約者なんて言うから」

「ごめんごめん。その方が説明しやすいかと思って。いずれはそうなるつもりだし」

「もう……でもそうなれば私も嬉しいけどね」

そう返すと、葵がバッと私の顔を見た。

「ん?」

「いや…みぃからそんな言葉聞けるとは思ってなかったから」

「私も否定ばっかりしてたら葵に嫌われちゃうかなと思って」

「いや、嫌いにはならないけど、不意打ちはほんと心臓に悪いしドキッとするから」

そう言って顔を赤くしている葵。


そんな話をしていると、

「せんせいさようなら」

と先生とご挨拶をしたあっくんが来た。

「みぃ、葵、お迎え来てくれてありがとう」

あっくんはにっこり笑ってお礼を言った。

「ふふ。いつもと違う幼稚園でのあっくんが見れるから嬉しいよ」

私の言葉に

「そうなの?」

と首を傾げるあっくん。

「新しい発見だからね」

靴箱で靴を履き替えたあっくんに手を差し出すとギュッと握ってくれた。

「さ、帰ろうか。今日からお泊りだよー」

と言うと

「お泊り楽しみ」

とワクワクしている様子が伺えてホッとした。

あっくんを真ん中にして、3人で手を繋いで歩く。

「ねぇねぇ、ジャンプしたい」

そう言って私と葵の顔を見上げるあっくん。

「いいぞー!せーのっ」

葵の掛け声に合わせて私もあっくんと繋いでる方の手を上げる。

「ジャーンプ!」

いつもより高くジャンプが出来て嬉しそうなあっくん。