「ねぇ、みぃちゃん」

彩さんの優しい声が響いた。

「はい」

「葵くんと生活始めてもう4年だっけ?」

「うん」

「葵くんと……次の関係になりたいなって思わないの?」

彩さんの言葉に思わず苦笑い。



「私は………………これ以上望んだらダメだと思うの」

「………………どうして?」

「葵は、医者としてまだまだこれから経験を積まないといけないでしょ?そんな時に私という存在が側に居たら……きっとせっかくできる事が出来ないんじゃないかなって……」

「みぃちゃん……」

「私は、葵にせっかくのチャンスを無駄にして欲しくないの。だから、今のままで十分だよ」

にっこり笑う私を見て、彩さんは悲しい顔をしていた。

「心配してくれてありがとう。でもちゃんと葵の優しさに甘えちゃってるのは分かってるから……」

「みぃちゃん……」

彩さんが何か言いかけた時……


「ママ〜。ひつじさんにえさあげてきたよ」

あっくんの元気な声が響いた。

「あっくん、おかえり〜」

私はあっくんの側へ行き、話題を変えた。

彩さん……ごめんね……


今はまだ温かい場所に居たいの……