「みぃちゃん随分驚いてましたね」

あんな驚き方したら、野上さんも分かるよな。

「みぃは、家事が出来なくなるのが嫌なんだよ」

「どうしてですか?」

「みんな仕事して疲れてるのに、自分は家で何もせず過ごすのが申し訳ないんだって以前言ってたよ」

「体調優先していいのに……」

「みぃは体調崩す頻度が多いから、余計に気になるんだろうね」

「私だったら喜んでゆっくりしちゃいますけどね」

野上さんは笑いながら後片付けを始めた。

そう、健康な人はきっとそう思うだろう

でも、みぃにとって家事は健康な人と変わりなく出来る事の一つだから、出来る限りやりたいんだろうな。


コンコン

「はーい」

「司さん、葵です」

「入っていいよー」

そう声をかけると入ってきた葵。

「みぃは…どうでしたか?」

ここにも心配性が1人。

「喘鳴が聞こえたから、喘鳴を抑える点滴と、食欲あまりなさそうだったから、ビタミン剤も一緒に入れておいたよ」

「ありがとうございます」

「タクシーで帰るように伝えたら葵から?って即答だったよ。ハハ」

思わず笑うと

「みぃにはバレるんだろうなとは思ってましたけど、即答とは…」

「でも主治医命令で伝えておいたから大丈夫だと思うよ。それと1週間分の喘鳴を抑える薬と、発作止め一つ出しておいたよ」

これで葵には通じるはず。

「ありがとうございます。1週間後か、発作が起こったら受診ですね。家事も制限ついてますか?」

ほらね。

「1日一つだけ」

「了解です」

こう言う時、医療従事者はほんとやりやすい。