「雰囲気?」

「そう。他の患者さんからは感じ取れない独特の穏やかな雰囲気。私は好きだから」

私から穏やかな雰囲気なんて出てるのかな……

「私が失敗しても責めないところは正直驚いたけどね」

そう言いながら苦笑する紗季ちゃん。

「誰だって失敗して成長するでしょ?由奈さんもつーくんも最初は失敗してたし」

「新人あるある…みぃちゃんは見たり経験したりしてるんだね。はい、終わり。痛くない?」

話をしながらも、消毒を済ませて、点滴の針ををあっという間にさしてしまった。

「紗季ちゃん、ありがとう。あっという間だったし、痛くないよ」

「良かった。あれから猛練習したからね。でもみぃちゃんにする時はホントはドキドキしちゃってるの」

「あれからずいぶん経つのに?」

「そう、ずいぶん経つのにの」

二人で笑いあった。

穏やかな時間……

由奈さん以外にもこんな風に話せる人が出来て良かった。

そんな事を考えていたら、

「みぃちゃん?暫く時間かかるから、眠ってていいよ」

その声を聞いてスーッと意識が遠のいた。