「野上さん、点滴お願い出来る?」

「はいっ」

つーくんは紗希ちゃんに伝えている。

「みぃ、点滴室まで歩ける?」

「歩けるよ」

今日はふらつきとかもないし、自力で来れたもん。

「じゃぁ、野上さんと一緒に、点滴室に行ってきて欲しいんだ」

「分かった。つーくん診察ありがとう」

「いえいえ。しばらくはゆっくりするんだよ」

「はーい」

そう言ってつーくんに手を降った。

「じゃ、みぃちゃん点滴室まで行こうか」

「うん」

二人で点滴室へ向かう。

「みぃちゃん、体調酷くならなくて良かったね」

「うん。朝からつーくんになんて言われるかドキドキしてたんだ」

少し笑ってみせる。


「それじゃぁ、ここに横になれる?」

そう言って、ベッドの近くに点滴台を運んできてくれた紗季ちゃん。

「うん」

そう言ってベッドに腰掛けてから横になった。

「点滴をする時にね、いつもみぃちゃんの事思い出すんだ」

「そうなの?」

そんな事を話しながら点滴の準備をする紗季ちゃんは慣れた手付きで素早い。

新人の頃のたどたどしい紗季ちゃんはもういない。

「私にとっては忘れられない経験だよ」

「ふふ。今の紗季ちゃんの頑張る力になれたなら良かったかな」

私の言葉を聞いて、紗季ちゃんの手が止まった。

「………ほんと…みぃちゃんは優しいね」

「そうかな?そうでもないと思うけどな……今でも歩み寄ってくれない人には、そっけないし……」

「私はみぃちゃんと信頼関係築きたかったから……」

「どうしてそう思ったの?こんなややこしい体調の私なんて一緒に居ても大変なだけだよ?」

「ふふ。みぃちゃんの雰囲気に触れてみたかったっていうのが本音」

まさかの言葉にビックリした。